2021年4月21日の当社取締役会におきまして、当社のマテリアリティ(重要課題)のひとつである「人財」に関する考え方をすべてのステークホルダーに対して開示するため、以下の通り「船井総研グループ人財基本方針」を定めました。
船井総研グループは、サステナブルな社会を実現する為の重要な価値創造の源泉として、“人財”に対する重要性を認識し、優秀な人財の確保および教育を最優先課題とし、社会に対する価値提供を果たしながら貢献していきます。
1. ダイバーシティ&インクルージョン
多様化する社会に対して、持続的に価値を創出し続けられる人財を創るため、国籍・ジェンダー・年齢等のバックグラウンドを個々が尊重し合い、多様な考え方を認めながら、事業活動を通じた社会への貢献を目指します。
2. 成長機会の創出
より良き社会をつくるため、また時代が求める変革に対応できる社員を最大限に育成するため、教育・研修体系の充実を図っていき、一層の成長機会を創出し、サステナブルな社会の成長に貢献していきます。
3. 社員エンゲージメントの向上
社員が働くことを通じてお互いが成長し、また価値観を共有しながら、組織におけるチームワーク力を高めることで、事業活動への好循環を促し、ひいては、それが社会課題の解決に繋がるような、社員とのエンゲージメントを高められるグループを目指します。
4. 健康経営
社員の働く「時間」や「場所」をはじめとした多様化を推進しながら、質の高い働き方をし、かつ顧客満足を高め、社会に対する価値創出のために、心身ともに充実した働き方ができるサポート体制を推進します。
5. 情報開示
人財に関する基本方針の取り組み状況について、社会との関わりの中で必要とされる情報開示に取り組んでまいります。
6. 法令遵守
事業活動を通じたあらゆるステークホルダーとの関係性の中で、関係諸法令の遵守に努めるとともに、社会通念上に照らした公正な行動に努めてまいります。
制定日:2021年4月21日
株式会社船井総研ホールディングス
代表取締役社長 中谷 貴之
当社グループでは、多様な人財の活躍こそが持続的成長につながると考えております。そのため、経営計画の重点方針として「積極的人財投資」と「グループパーパスの浸透」を掲げ、グループ成長の源泉である人的資本のさらなる充実を図ってまいります。
売上に直結する「コンサルタント人財」の年平均成長率10%での増員にチャレンジしていきます。
また、採用、育成・活躍、定着を重点施策とし、積極的な人財投資を進めてまいります。
(※1)船井総合研究所のコンサルタント平均年収は2030年に1,000万円を目標としており、初任給や報酬水準の継続的な向上に取り組んでいます。
主な人的資本施策
指標 | 目標値 | |
採用 | 業績に直結するコンサルタント 人財の積極採用 |
コンサルタント人数 2025年 1,150名 (2024年 1,018名) |
育成 | 社員1人当たりの研修時間 | 年間100時間を超える研修の実施 |
定着 ・ 活躍 |
コンサルタント人財の報酬水準向上 | (株)船井総合研究所のコンサルタント 平均年収 2030年 1,000万円(※1) (2024年 780万円) |
女性管理職比率 | 2025年 25%、2030年 30% (2024年 24.1%) |
社員数1,800名(2025年目標)に向けた積極的な採用施策を推進しています。具体的には、上流工程であるコンサルタント人財の増員に向けた新卒採用強化、また、成長性の高いDX領域や専門性の高いM&A領域などにおけるキャリア採用強化、さらにはグループ力を高める経営人財の採用強化を進めています。
新卒採用
業種別の採用活動に加え、グループ合同のDX採用イベントや、DXインターンシップ(ワークショップ、交流会)といった新たな取り組みにより、これまで接点の少なかった学生層へも早期の段階からアプローチすることで、母集団形成・他社との差別化・グリップを強化していきます。
インターンシップ
当社グループでは、新卒採用に際してインターンシップを行っています。
インターンシップは2012年から実施しており、3日間や一週間の短期プログラムに加え、3カ月以上の長期プログラムも設定しています。就職活動を控える学生に対して、仕事内容を具体的に理解いただき、職場の雰囲気などを体感いただくことが目的です。
2024年に開催したインターンシップには、2026年新卒採用対象の学生が延べ2,845名参加しました。
キャリア採用
即戦力となるプロ人財の確保に注力しています。採用チャネルの拡大や選考フローの短期化を進め、スムーズな採用を実現しています。
特に、今後のグループ業績向上に不可欠なDX人財は特設ページを新設して採用を強化しています。
また、近年増加中のアルムナイ採用も、即戦力となるプロ人財確保の有効な手段と捉え、多様なプロ人財の採用に積極的に取り組んでいます。
当社グループは、人財基本方針において「成長機会の創出」を掲げており、より良き社会をつくるため、また時代が求める変革に対応できる社員を最大限に育成するため、教育・研修体系の充実を図っています。若手社員の早期育成、生産性向上につながるデジタルスキル習得など、さらなる教育プログラムの拡充および教育投資の拡大を進めています。
育成プログラム
階層別(新入社員・中途社員、ミドル層、幹部向けなど)やスキル別・テーマ別の、さまざまな研修プログラムを運用し、人財育成を行っています。必要なスキルを必要なタイミングで身につけること、座学で理論を学ぶだけでなく、実例やワークを多く取り入れることで実務において即実践できることに重点を置いています。
また、コンサルティング分野に関しては、成果を出すために必要なDXスキルを一覧化し、各スキルに対応する教育コンテンツを整理。昇格プログラムと連動させることで、社員一人一人のスキルの向上を図るとともに、計画的なDX人財の育成に取り組んでいます。加えて一部メンバーには、専門スキルのさらなる習得を目的に、外部コンテンツを活用したDX研修も実施しています。
DXトレーニング
DX人財の育成と戦力化を目的に、研修、勉強会、eラーニングなどのプログラムを各社で実施しています。
船井総研では、「DXイネーブルメント」として全22講座のDXトレーニングを実施。デジタル・DXで成果を出すためのスキルを体系化し、スキルの習得を目指します。それぞれのスキルの習得状況と実際の成果の連動を図ることで、学習コンテンツ自体の進化のPDCAを回しています。
コンサルティングトレーニング
「コンサルティングイネーブルメント」として全1,014講座のトレーニングを実施。実践重視で成果=お客様の業績アップに繋げられるスキルの習得を目指します。教育コンテンツを用いたインプット、現場業務の中でのアウトプット、業績をもとにKPIの見直し、と現場での実践を重視したトレーニングです。
社員一人当たり研修時間(2024年度実績)
・92.8時間
※上記は、研修参加・新卒コンサルタントの同行支援時間・経営方針発表会の実績を合算し、連結従業員数を分母に算出したものです
当社グループは、育成プログラムの充実とともに、人財育成においてOJT(特に営業同行)に注力しています。新卒1年目のコンサルタントは営業同行を体験することで、営業活動のポイントやスキル・ノウハウを学ぶ実践的な知識の習得につなげています。
(写真)【就活生必見】船井総研コンサルタントの1日より
マネージャー層による組織リード、メンバー育成が、KGI達成および企業成長に直結することから、管理職向けプログラムを再構築します。
昇格プログラム
等級・役職で昇格を目指す社員向けの育成プログラム。
求められる役割、必要なスキル・マインドを座学・eラーニング・ワークを通して習得します。
幹部研修
既存管理職者向けのプログラムを様々な形式で実施し知見を深めています。
例) 勉強会 / 役員レビュー / テーマ別委員会 / ビジョンミーティング
当社グループの人事制度は主に<等級制度><評価制度><賃金制度(報酬制度)>の3つの制度で構成されています。グループパーパスの実現に向け、人財戦略を具現化したものです。
<等級制度>により、社員一人ひとりに期待される役割と成長のステップを明確にし、多様なキャリアパスを提供しています。
<評価制度>では、成果だけでなく、成果を出すためのプロセスや行動(Funai Wayの実践など)も重視し、公正かつ多角的な評価と丁寧なフィードバックを通じて、社員の成長を強力に促進しています。
そして、その評価結果は<報酬>に適切に反映され、貢献に応じた公正な分配が図られています。コース転換や部署異動の機会も設けられており、社員が自身のビジョンやライフステージに合わせて柔軟にキャリアを築いていくことが可能です。
これらの制度全体を通して、船井総研グループは社員一人ひとりが能力を発揮し、成長し、多様な形で会社に貢献することで、個人の「生涯価値の最大化」と会社の持続的な成長の両立を目指しています。人事制度は継続的に改善され、常に最適化が追求されています。
船井総研グループの等級制度は、社員に期待する能力、職務、役割を区分する制度です。これは、個人のさらなる成長を実現するため、コースや等級ごとに求める役割・能力、そして昇格などのキャリアステップの基準や規定を定義したものです。
等級は、期待する能力や貢献・実績などに応じて6段階(一部コースでは異なる場合あり)で分類されており、求められる役割と業務遂行能力に応じて、権限・責任・待遇が定められています。
船井総研グループでは、業務領域や役割に応じて多様なキャリアアップコースを用意しています。主なものとして、組織を牽引するマネジメントコースと、個人の専門性を追求するスペシャリストコース、コンサルティングディベロップメントコース、ビジネスディベロップメントコース、コーポレートプロフェッショナルコース、コーポレートスタッフコースなどが各グループ会社ごとにあります。
これらのコースは、社員が仕事とプライベートの両方を充実させ、活躍し続けられる「サステナグロースなキャリア」を実現することを目的としています。また、ライフステージや自己ビジョンの変化に合わせてキャリアを選択できる制度設計が目指されています。これは、上がるか下がるかの「はしご型」ではなく、縦横無尽に移動する「ジャングルジム型」のキャリア形成を支援するという思想に基づいています。
評価制度は、等級制度で定めた人財像ごとに評価内容を決定し、人事考課を行う仕組みです。一定期間での目標に対する査定を行い、目標達成とそれらを通じた成長を促進することを目的としています。また、多様な貢献の仕方に合わせて各々の成果を適正・公正に評価し、報酬に反映させる役割も担っています。評価は、単に報酬を決定するだけでなく、育成、プロセス、フィードバックを通じた成長促進の場でもあります。
評価サイクルは会社やコースによって異なりますが、多くの場合は年間を通じたサイクルで運用されます。1年を通じて「目標設定」「業務遂行」「評価・フィードバック」のサイクルを運用しています。
評価プロセスは、自己評価から始まり、上長評価、部門間調整や評価会議を経て、最終決定される多段階評価が基本です。管理職層においては、360度評価も導入し、より多角的な視点から評価を行っています。また、顧客からのフィードバックなども考慮することで、評価の客観性を高めています。これらにより、複数の視点で評価の偏りを是正し、納得感の高い評価を目指しています。最終的な評価結果は、上司から部下へフィードバック面談を通じて伝えられ、透明性の確保や、今期の労い、来期の期待、具体的な行動設定など、成長や課題解決に向けた話し合いが行われます。
上記に加え、定期的な1on1など、日々の業務を通じた継続的なフィードバックを実施することで、一人ひとりの成長をきめ細やかに支援しています。
評価項目の詳細
評価項目は、会社の目標や個人の役割に応じて設定されます。主な項目として、以下のようなものがあります。
成果目標
プロセス目標
成果目標を達成するための過程や具体的な行動計画を評価します。
行動目標 / コンピテンシー
成果だけでなく、成果を出すためのプロセスや行動規範も評価します。特にFunai Wayに含まれるAdventureship (変化を原動力に、全社活動への貢献), Empathy (顧客や部門経営者への伴走), Integrity (誠実さ、約束を守る) といった価値観の実践が重視されます。船井上海では「会社好き、仕事好き、仲間好き」という価値観の充足も評価基準に含まれています。
報酬制度は、等級および評価に基づいて報酬を規定し、望ましい行動を促す役割を担っています。報酬は、賞与による「変動的給与」と、基本給と手当による「固定的給与」で構成されています。
月給
月給は、属する等級や号俸、そして各種手当によって決定されます。評価結果(人事考課や評価点合計)に応じて号俸が変動し、翌年の月給に反映されます。
賞与
賞与は、会社の業績や個人の評価に応じて支給されます。夏季賞与は会社業績(業績係数)や基本給に基づいて支給されることが多く, 冬季賞与は会社業績に加えて個人の人事考課や評価が反映される重要な要素です。
各種手当
業務手当・役職手当
等級・コースに応じて支給
資格手当
一定の資格取得を支援
家族手当
扶養家族がいる場合に支給
通勤手当
実費支給
時間外手当・深夜勤務手当
時間外労働に対して支給
調整手当
賃金体系変更等に伴い支給
多様な働き方とキャリア形成を支援する制度
船井総研グループでは、社員一人ひとりの「サステナグロースなキャリア」を実現するため、多様な働き方やキャリア形成を支援する制度を整備しています。
コース転換制度
コース転換制度は、個人の志向性や能力、あるいは組織の状況に応じて、マネジメントコースと専門職コース間など、異なるコースへ異動できる仕組みです。コース転換には、本人の意思表示と上長からの上申、役員による審議・承認といったプロセスがあります。月給は、転換前のコースの給与を基準に、転換後のコースの給与テーブルに合わせて調整されます。
部署異動制度
また、部署異動制度(トランジット制度、ジョブオファー制度、人事異動)も用意されており、コースは変えずに所属部署を変更することが可能です。これは、個人の希望に応じて、複数分野を経験することで、個人のバリューアップやマネジメント力向上を図ることを目的としています。トランジット制度では社員自ら希望部門へ異動を申し出ることができ、ジョブオファー制度では社内公募に応募する形で異動が可能です。これらの制度においても、上長を経由せず人事担当部門に直接相談できる仕組みが用意されています。
こうのとり予算制度
さらに、ライフイベントを支援する制度として、本人または配偶者の妊娠・出産に伴う産休・育児休業の際に、既に確定していた個人予算を会社や部署に移管する「こうのとり予算制度」があります。これは、社員が安心してライフイベントを迎えられるよう配慮された制度です。
キャリア形成の考え方
船井総研グループでは、社員一人ひとりの「サステナグロースなキャリア」を実現するため、多様な働き方やキャリア形成を支援する制度を整備しています。
「はしご型」から「ジャングルジム型」へ
船井総研グループでは、従来の上下方向のみの「はしご型」キャリアではなく、縦横無尽に移動できる「ジャングルジム型」のキャリア形成を支援しています。これにより、社員は自身のライフステージや志向性に合わせて、柔軟にキャリアを選択することができます。
例えば、マネジメントコースからスペシャリストコースへの転換、あるいは異なる部署への異動など、多様なキャリアパスを選択することが可能です。これは、個人の「生涯価値の最大化」と会社の持続的な成長の両立を目指す船井総研グループの人事哲学を反映しています。
仕事とプライベートの両立
「サステナグロースなキャリア」の実現には、仕事とプライベートの充実が不可欠です。船井総研グループでは、ライフイベントに合わせた働き方の選択肢を提供し、長期的に活躍できる環境づくりを重視しています。
継続的な成長機会
評価制度を通じた定期的なフィードバックや、多様なキャリアパスの提供により、社員の継続的な成長を支援しています。これは、個人の成長が会社の成長につながるという考えに基づいています。
価値観の共有
Funai Wayに代表される企業価値観の共有と実践を重視し、評価にも反映させることで、組織文化の醸成と個人の行動指針の明確化を図っています。
すべての社員が働きがいを感じながら活躍し続けられるよう、経営方針やグループパーパスの共感浸透を促進し、エンゲージメントの向上はもちろん、グループシナジーの拡大を進めています。
「EVP(Employee Value Proposition:従業員価値提供)の向上」を中期経営計画の人財戦略に掲げ、従業員満足度を継続的に向上させています。
・グループ東京本社のワンオフィス化を通じたコミュニケーションの活性化
・持続的な報酬水準の向上
・フレックスタイム、リモートワーク、コース転換など多様で柔軟な働き方の推進 など
パーパス・タウンホールミーティング
グループCEOおよびグループ各社トップが現場に赴き、グループパーパス設定の背景や意図を直接社員に伝えるとともに、社員との質疑応答をとおして意見交換を行っています。
挨拶キャンペーン
各社有志が社員の通勤時間帯にあわせてオフィス入口に立ち、挨拶・声かけを行っています。コロナ禍で一時傷んだ”挨拶を大切にするカルチャー”を復活・定着させることにより、新たなコミュニケーション、シナジー効果が生まれています。
Founder’s Spirit浸透キャンペーン
Founder’s Spiritを理解するため、各社選抜の次々世代リーダーがワークショップに参加。創業者記念館見学やエバンジェリストによる講義をとおして組織に伝え続けられるべき創業者精神を学びます。
関連するマテリアリティ(重要課題)
●中堅・中小企業へのコンサルティングを通じて、地域社会に貢献
●顧客のESG経営を推進するためのサポートやソリューションを提供
事業戦略との関連性
●クライアントである中堅・中小企業に対して業種別・企業フェーズ別コンサルティングを実施しており、クライアントの成長期から成熟期・エグジットまで長期支援
●クライアント企業を中心に売上100億円企業化のコンサルティングを通じて、地域社会に貢献
船井総合研究所は、神戸大学にて「中堅・中小企業の成長戦略・業績向上」をテーマとした寄附講義を2023年10月から2024年1月にかけて実施しました。
講義では、厳しい環境変化や期待されている社会課題に対応しつつ、持続的な成長を可能にする企業づくりの方法を、船井総合研究所のコンサルタント7名が解説しました。受講生に対して豊富な成功事例を元にケーススタディを実施し、その成長戦略・業績向上の方法論について議論しました。
船井総合研究所と神戸大学が「中小企業の価値創造」をテーマとした共同研究をスタート
売上100億円企業を目指す企業と経営者に求められる要素を導き出し、企業成長を後押し
≪共同研究の概要≫
本共同研究では、売上100億円企業化に向けたキードライバー(目標の達成度を最も大きく左右する要素)を売上100億円に到達した企業と停滞している企業のデータをもとに明らかにすることを目指します。
本共同研究では、船井総合研究所が経営コンサルティングの中で蓄積している約4万社の経営データや経営者のアンケート・インタビューデータと、神戸大学大学院経営学研究科が研究する複数の経営理論体系を掛け合わせながら、成長を阻害する要因と促進する要因を特定します。また、企業研究に留まらず、企業の成長に大きな影響を与える「経営者」にも焦点をあて、企業の成長ステージごとに必要となる経営者のマインドセットや行動を明らかにしていきます。
≪共同研究のゴール≫
本共同研究を通じ、より多くの経営者と企業が売上100億円を目指す場合に必要な要素を導き出し、日本経済の発展に寄与することを目指しています。